シグルイ
シグルイ 原作:南條範夫 作画山口貴由
常軌を逸した漫画。ネットでも大人気。
武家社会を極端に描いたギャグと紙一重のインパクト。
89点
作者(作画とあるが、ほとんど彼の創造物といっていいでしょう。原作小説はとても短く原作から発展させた内容になっています)山口貴由は、覚悟のススメなど、右的な三島由紀夫的な、武士の世界に通じる男の美学のような世界観の作品が多く見受けられます。
その中で本作品シグルイは、武士の世界を過剰なまでに凄惨に描いています。あまりの描写に血の匂いがしそうな、リアルな作画も相まって痛みまで感じられそうな本当に物凄い作品です。
根幹のストーリーは伊良子清玄 と 藤木源之助という二人の武芸者の復讐劇をえがいていますが、それを取り巻く周りの武芸者たちの生きざま、死にざま、無茶苦茶な過去、が本当に無茶苦茶笑です。
そして藤木源之助の師匠、岩本虎眼が一番めちゃくちゃです。老齢のために半分ボケているのですが、たまに正気に戻ったときの暴君っぷりたら無いです。
でもね、無茶苦茶な中の彼らの強さにしびれるのです。強さとは剣技、身体能力も当然なのですが、精神性。彼らの精神にしびれるのです。
この作者の作品に出てくるキャラクター達の精神性。これこそが山口貴由の描きたい伝えたいことなのではないだろうかと作者は考えます。
これぞまさに武士道。死ぬことと見つけたり。
言葉通り生きられれば良いのですがね、、、。